#38 ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』見始めました

みなさん、こんにちは。日本語教師のたまです。
この番組は、日本語を勉強している人のためのpodcastです。
日本の生活や文化、日本語のことについて、できるだけわかりやすい日本語で話します。

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今日は最近始まった日本のドラマについてお話ししようと思います。

タイトルは「アンメット ある脳外科医の日記」といいます。

「アンメット」とは、満たされない、達成されていない、という意味だそうです。
「脳外科医」とは、頭の中の脳の手術をするお医者さんです。頭の中の手術をするって、すごく難しそうですよね。

このドラマの主人公は、脳外科医の女性です。この女性は、1年半前、交通事故にあって、脳に傷ができました。そのせいで、彼女は、記憶障害(きおくしょうがい)、記憶ができない、覚えられない、思い出せないという状態になりました。過去の約2年間のことを覚えていないし、思い出せない。さらに、新しいことを覚えることもできません。彼女の記憶は1日だけです。毎日、朝起きたら、昨日の記憶はなくなっています。
だから、彼女は毎日日記を書いています。その日何があって、誰に会ったか、全部書いています。そして、毎日その日記を読んで、過去の自分のことを覚えるんです。
もともとは脳外科医だけど、今は看護助手(かんごじょしゅ)、看護師を手伝う仕事をしています。

ある日、彼女が働く病院に、アメリカ帰りの脳外科医がやって来ました。アメリカ帰り、というのは、アメリカから日本に帰って来た、という意味です。この男性はアメリカの病院で仕事をしていました。アメリカの仕事を辞めて、日本に帰って来たんですね。

この男性が、主人公の女性に、外科医として手術をするように言います。女性は、わたしは記憶に障害(しょうがい)がある、問題があるから、できないと断ります。でも、男性は、あなたはもともと脳外科医として仕事をしていたし、技術(ぎじゅつ)もあるのだから、やるべきだ、と言います。
主人公の女性は悩みます。しかしある時、手術に参加することになって・・・

という感じでストーリーは進みます。

まだ2話までしか見ていませんが、いろいろ感じることがあったので、ここでお話ししてみたいと思います。

ドラマの中で、アメリカ帰りの男性が主人公の女性にこう言います。
「強い感情は忘れません。記憶を失っても そのとき感じた 強い気持ちは残るんです。」
これは、記憶がなくても、心は覚えている、ということです。
この場面で、思い出したことがあります。
わたしの夫の母は、晩年、歳をとって人生の終わりの頃、認知症(にんちしょう)になりました。認知症というのは、脳の働きがだんだん悪くなって、記憶力や判断力(はんだんりょく)も落ちて、日常の生活がふつうにできなくなる病気です。
夫の母の場合は、やはりいろいろなことをすぐに忘れてしまうようになりました。昨日のことはもちろん、30分前のことも忘れてしまうようになりました。
でも、記憶はなくても感情は残る、ということを聞いたことがありましたから、できるだけ、楽しい、うれしい、おいしい、気持ちいい、という感情がもてるようなことをしてあげたいと思いました。
おいしいものを食べて、気持ちいいお風呂に入って。何を食べたか、何をしたか、なんてことはすぐに忘れちゃいますが、なんだかわからないけどおいしかった、気分がよかった、そんな感情が残ればいいなと思いながら、介護をしていました。
ドラマを見て、そんなことを思い出しました。

そして、わたしも60歳を過ぎて、認知症ではありませんが、だんだん忘れっぽくなってきました。ドラマの主人公が毎日のことを日記に記録しているように、わたしもできるだけ記録したほうがいいかもしれないなあと考えさせられました。

「記憶より記録」という言葉があります。記憶するより、記録しましょう、メモしましょう、という意味です。たとえば、ちょっと考えてみてください。みなさん、昨日の晩ご飯、何を食べましたか?覚えていますか?自分では覚えているつもりでも、記憶ってあまり確かじゃないですよね。買い物に行くとき、何を買うかメモがあれば、忘れませんね。記憶に頼るより、記録しておけば安心です。

それから「未来の自分は赤の他人」という言葉もあります。「赤の他人」とは、まったく関係ないほかの人、という意味です。「未来の自分は赤の他人」というのは、今の自分と将来の自分は他人、ほかの人だと考える、ということです。このドラマの主人公は、まさにそうですね。彼女の場合は、過去の自分のことが全然わかりません。まるで赤の他人です。毎日、日記を読むとき、初めて過去の自分のことを知るんです。
未来の自分、といっても、1時間や2時間、1日や2日程度なら、そんなに変化はありません。でも、1ヶ月、1年、10年後の自分はどうでしょう。今と同じ自分でしょうか?違いますよね。「未来の自分は赤の他人」なんです。
だから、メモを残すときは、1年後、10年後の自分が読んで理解できるように書きましょう。他人にメッセージを残すように、書くんです。

そうするとね、おもしろいんです。未来の自分が、過去に書いた自分の文章を読んで、「へえ〜、過去の自分はこんなことを考えていたのか!」ってびっくりします。あの時考えていたことが、今のことにつながるんだなあ、とか、いろいろ発見もあります。

記録って大事だし、おもしろいですね。このドラマを見て、あらためて、そんなことを思いました。

このドラマは、わたしはNetflixで見ましたが、みなさんの住んでいるところで見ることができるかな?日本語の字幕しかないので、もしかしたら海外では見られないかもしれませんね。YouTubeやAmazonで、有料の配信もしています。もし、興味があったら、探してみてくださいね。

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はい、今日のお話はここまでです。最後に、今日のエピソードに出てきた単語を復習しましょう。 リスニングの練習です。WEBサイトのスクリプトに答えがありますので、チェックしてくださいね。では、始めましょう

1 脳外科医(のうげかい)
2 交通事故(こうつうじこ)
3 記憶障害(きおくしょうがい)
4 看護助手(かんごじょしゅ)
5 アメリカ帰り(あめりかがえり)
6 手術(しゅじゅつ)
7 技術(ぎじゅつ)
8 認知症(にんちしょう)
9 判断力(はんだんりょく)
10 介護(かいご)
11 記録(きろく)
12 忘れっぽくなる(わすれっぽくなる)
13 メモを残す(めもをのこす)

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はい、今回は日本のドラマのことと、ドラマを見て感じたことをお話ししました。ちょっといつもと違って、わたしが感じたことをお話しした内容ですが、いかがでしょうか?感想をお待ちしています。

このPodcastを気に入っていただけましたら、フォロー・評価いただけるととっても嬉しいです。
今日も最後までお聞きいただきありがとうございました。
それでは、今日はここまで。
また次回、お会いしましょう。

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「アンメット ある脳外科医の日記」公式サイト

 

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