#60 お箸の日本文化
みなさん、こんにちは。「てくてく日本語」日本語教師のたまです。
この番組は、日本語を勉強している人のためのpodcastです。
日本の生活や文化、日本語のことについて、できるだけわかりやすい日本語でお話します。
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今日はみなさんと、お箸についてお話ししたいと思います。
お箸、ごはんを食べるときに使う2本の細い棒ですね。
みなさんはふだん、お箸を使いますか?ごはんを食べるとき、食事をするとき、何を使いますか?
先日、わたしは新しいお箸を買いました。
今まで使っていたお箸が、古くなってしまったためです。お箸の先の方、口に入れる部分が、すり減ってしまったんです。すり減る、というのは、こすられて、少なくなる、という意味です。お箸の先がすり減って、細くなって、弱くなってしまったんですね。
それで、新しいお箸を買ったんですけど、さて、この今まで使っていた古いお箸をどうしよう、と思ったんです。
ふつうの道具なら、使わなくなれば捨てますよね。
でも、お箸の場合、どういうわけか、そのままゴミ箱に捨てる気になれないんです。抵抗がある。そのまま捨てたくない、という気持ちがあるんです。
これ、若い人はあまり感じないかもしれないですが、わたしくらいの年代の人は、わかるんじゃないかなあ。お箸をゴミ箱に捨てるのは、あまりよくないこと、と感じてしまうんです。
それじゃ、どうしたらいいんだろうと思って、ちょっと調べてみました。
古くなったお箸はどうしたらいいか、というと
一番いい方法は、神社やお寺に持って行って「お焚き上げ」をしてもらうこと、だそうです。
「お焚き上げ」とは、大切にしていたものを、感謝の気持ちを込めて燃やして、天に返す儀式です。
古くから、日本では、直接口をつけるお箸には、使った人の魂が宿ると信じられていました。自分がいつも使っているお箸には特別な気持ちや思いが込められている、ということです。
だから、同じお箸をみんなで使うのではなく、一人ひとりが、自分だけのお箸を使います。この風習は、日本独特のものだそうです。自分専用のお箸がある、そのくらい大切なものなんですね。
さらに、お箸には、神様と人をつなげる役目があると考えられていました。
箸、という言葉は、橋、ブリッジ(bridge)と同じ発音ですね。アクセントは違うんですが。
箸(は\し)。橋(は/し)。
これ、文字で見たほうがわかりやすいので、概要欄に書いておきますね。
お箸は、神様と人をつなげる橋として、特別な道具と考えられていたんです。
自分の魂が宿り、神様とつながるお箸。
だからこそ、捨てる時も、簡単に捨てるのではなく、神社やお寺に持って行って、「お焚き上げ」をしてもらう。まさに日本の文化ですね。
世界には、お箸を使う国、地域がたくさんあります。調べてみたら、お箸を使う文化圏は世界の約28%。日本・中国・台湾・韓国・ベトナム・タイ・シンガポールなどです。
でも、お箸だけを使って食事をするのは、日本だけだそうです。
中華料理はレンゲを使いますし、韓国料理も金属のスプーンを使いますよね。
日本のお箸の文化、調べてみたらいろいろおもしろいなあと思いました。
そうそう、それで、お箸をどうやって捨てるか、という話ですが、実際にお寺や神社に持って行くことができない場合もありますよね。
なので、家でゴミ箱に捨てる場合は、白い紙の上に箸をおいて、塩で清めて、包んで捨てるのがいいそうです。
命を支える大切な食べものをいただいたお箸。
感謝の気持ちを持って、さようならしたいですね。
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では、今日の単語を復習しましょう。WEBサイトにスクリプトがありますので、みなさん、どうぞ利用してくださいね。
それでは、始めます。
1 すり減る(すりへる)
2 抵抗がある(ていこうが ある)
3 お焚き上げ(おたきあげ)
4 儀式(ぎしき)
5 宿る(やどる)
6 文化圏(ぶんかけん)
7 清める(きよめる)
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このPodcastのスクリプトがWEBサイトにあります。
それから Youtubeでも字幕(じまく)、subtitlesをつけてアップしています。読みながら聞きたい人は、Youtubeでも聞いてみてください。日本語の字幕と、英語、中国語の字幕もあります。英語と中国語は、自動翻訳(じどうほんやく)、コンピューターの翻訳を、わたしが少し直しています。でも、専門の翻訳ではないので、ちょっと間違っているところもあると思います。参考程度に見てくださいね。
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今日も最後までお聞きいただきありがとうございました。
それでは、今日はここまで。
また次回、お会いしましょう。
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