111 百人一首とかるたの世界|The World of Hyakunin Isshu and Karuta|百人一首與歌牌的世界

みなさん、こんにちは。「てくてく日本語」日本語教師のたまです。
この番組は、日本語を勉強している人のためのpodcastです。
日本の生活や文化、日本語のことについて、できるだけわかりやすい日本語でお話します。

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みなさんは「ちはやふる」っていうドラマ、知ってますか?
漫画が原作で、アニメや映画にもなった人気作品です。主人公は高校生の女の子。彼女が友だちといっしょに「百人一首」の「競技(きょうぎ)かるた」に夢中になっていく青春ストーリーです。友情やライバルとの戦い、スポーツドラマみたいな熱さもあって、見ているとつい応援したくなります。


今日は、その「ちはやふる」の世界を楽しむカギになる「百人一首」と「かるた」の世界をご紹介します。

さて、まず「百人一首」。

「百人一首」これは、100人の歌人が作った和歌を、それぞれ1首ずつ集めたものです。歌人とは、和歌を作る人のことです。

「和歌」というのは日本の昔の詩(うた)です。うた、といっていますが、いまのような歌う歌ではなくて、どちらかというと詩、ポエムのようなものです。5・7・5・7・7、合計31の音でできています。短いけれど、自然の美しさとか、恋愛とか、人の心を表現します。昔は手紙の代わりに和歌を送りあうこともありました。ただの詩じゃなくて、人と人の心をつなぐコミュニケーションツールだったんです。

その和歌を100首集めたのが「百人一首」です。和歌は一首、二首と数えるんです。漢字は「首」からだの「首」ですね。この漢字を「しゅ」と読んで、一首、二首と数えます。「百人一首」は100人の歌人が作った和歌を、それぞれ1首ずつ集めたものです。平安時代から鎌倉時代にかけて作られた美しい和歌が100首選ばれています。


たとえば、こんな歌があります。

「ちはやぶる 神代(かみよ)もきかず 竜田川(たつたがわ) からくれなゐ(い)に 水くくるとは」

意味は「竜田川の水が、赤いもみじで染まっていて、まるで絞り染めの布みたい。こんな美しいものは神さまの時代にもなかったよ」。
短いのに、ぱっと目に浮かぶような鮮やかな景色が描かれていますよね。

そして江戸時代に、この百人一首の和歌が「かるた」として使われるようになりました。

では、かるたとは、何でしょうか。かるたは日本で昔から遊ばれているカードゲームです。2種類のカードがあって、ひとつは読み札と言います。読み札には短い文が書いてあります。もうひとつは取り札。取り札には読み札の文の一番最初の文字や絵が書いてあります。

遊び方はこうです。テーブルや床の上に、取り札を並べます。読み手が読み札の短い文を読むと、プレイヤーはその文に合う札をさがして、すばやく取ります。早くたくさん取った人が勝ちです。

たとえば読み札が「あけましておめでとう」だったら、プレイヤーは一番最初の文字「あ」が書いてある札をとります。

簡単ですよね?かるたは小さい子どもでも遊ぶことができて、文字や言葉を覚えるのに役に立ちます。

一般的には、かるたは子どもが遊ぶものです。

しかし「百人一首かるた」はちょっと特別です。

「百人一首かるた」の場合、和歌を、前半と後半、上の句と下の句に分けます。

たとえば、さっきの「ちはやぶる」の歌の場合、上の句は「ちはやぶる 神代(かみよ)もきかず 竜田川(たつたがわ)」ここまでが前半、上の句です。そして下の句は「からくれなゐに 水くくるとは」です。

「百人一首かるた」の読み札には和歌の上の句から下の句の全てが書かれています。その歌を作った人の絵も書いてあります。

取り札には「下の句」だけがひらがなで書かれています。文字だけで、絵はありません。

読み手は、読み札の和歌の上の句だけを読みます。それを聞いて、その続きの下の句が書いてある札を取ります。上の句を聞いただけで、下の句をとらないといけないんです。

これが「百人一首かるた」のやり方です。

どうですか?なんとなくイメージできますか?

この「百人一首かるた」、わたしが子どもの頃は、お正月の遊びのひとつでした。お正月は実家にたくさんの親戚が集まって、過ごします。そのとき、みんなで遊ぶことができるのが「百人一首かるた」でした。学校でも、百人一首を覚える授業がありましたので、子どもから大人まで一緒に遊ぶことができました。

さて、ドラマ「ちはやふる」に出てくるのは、「競技(きょうぎ)かるた」といいます。「競技かるた」は、この百人一首かるたを使った本格的な試合です。畳の上に札を並べて、全力で札を取り合います。とても静かな雰囲気の中で始まるんですが、札を取る瞬間は「バシッ!」と音がして、迫力があります。競技かるたは、早く札をとったほうが勝ちです。なので、和歌をたくさん覚えているほうが強いんです。

競技かるたは、日本の文化や文学にふれながら、体も頭も使う、とてもユニークな伝統スポーツなんです。

わたしは「百人一首」で遊んだことはあったけれど、「競技かるた」については、このドラマを見るまで知りませんでした。子どもの遊びだと思っていた「百人一首」が、「競技」つまりスポーツとして真剣に戦う試合があるなんてびっくりしました。いろいろな技があったり、礼儀を大切にしたりするのは、柔道のような日本の武道にも通じるものがあるなあと思いました。

いかがでしたか?「百人一首」と「かるた」の世界について、少しでも身近に感じてもらえたらうれしいです。

もし興味があれば、ドラマ「ちはやふる」も見てみてくださいね。


では、今日のエピソードにてきた単語練習しましょう。まず、単語をゆっくりみます。そのあと、ナチュラルスピード でみます。リピートやシャドウイングの練習使ってみてください。WEBサイトに英語中国もついています。参考にしてくださいね。

それでは、めます。

No.語彙ふりがな英語中国語
1百人一首ひゃくにんい\っしゅHyakunin Isshu (100 Poems by 100 Poets)百人一首
2競技きょ\ーぎcompetition比賽
3和歌わ\かclassical Japanese poem和歌
4歌人か\じんpoet歌人
5かるたか\るたkaruta (traditional card game)歌牌遊戲
6読み札よみ\ふだreading card讀札
7取り札とり\ふだgrabbing card取札
8上の句かみの\くfirst half of a waka上句
9下の句しもの\くsecond half of a waka下句
10迫力はくりょく¯impact / power氣勢


今日も最後までお聞きいただきありがとうございました。

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それでは、今日はここまでとなります。みなさん、よい週末をお過ごしください。
また次回、お会いしましょう。

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