120 香りを楽しむ日本のお風呂文化|Fragrant Bath Traditions in Japan|享受香氣的日本泡澡文化【N3】

みなさん、こんにちは。「てくてく日本語」日本語教師のたまです。
この番組は、日本語を勉強している人のためのpodcastです。
日本の生活や文化、日本語のことについて、できるだけわかりやすい日本語でお話します。

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はい、みなさん、この1週間はいかがお過ごしでしたか。

わたしは先日、いちょうの紅葉を見にいきました。いちょうの葉っぱは三角の形をしていて、秋になると黄色に紅葉します。わたしが行ったのは、川沿いにいちょうの木が並んで植えられているところです。黄色い葉っぱが太陽の光を受けてきらきら輝いて、とてもきれいでした。ちょうどいちょうの実「ぎんなん」がたくさん落ちていて、ぎんなんを拾っている人もいました。いちょうが黄色くなると、秋も終わるなあという感じがします。

さて、寒くなってくると、お風呂であたたまりたくなりますね。日本人はお風呂、大好きですね。

みなさんの家には湯船(ゆぶね)、バスタブはありますか?シャワーだけですか?

日本ではどの家にも、湯船があります。湯船にお湯をためて、肩までゆっくりつかります。お湯の中で深呼吸すると、体の緊張がゆるんで、気持ちがふっと軽くなるような感じがします。

そんな日本のお風呂では、体を温めるだけではなく、植物や果物を入れて香りを楽しむ文化があります。

え、それって入浴剤(にゅうよくざい)のこと?って思うかもしれませんね。お風呂に入れていろいろな効果、からだを温めるとか、痛みを和らげるなどの効果があるものを、入浴剤といいます。よく、スーパーやドラックストアで売っていますよね。

今回お話しするのは、一般の入浴剤のことではなくて、植物や果物をそのままお風呂に入れて香りを楽しむという方法です。日本で昔から親しまれている文化です。

お風呂に入れるものとして、一番有名なのは「ゆず湯」です。ゆずは、小さくて黄色い、みかんの種類の果物です。
冬至という、一年で一番昼が短い日に、ゆずを丸ごとお風呂に浮かべて香りを楽しみます。
ゆずはとてもさわやかな香りがして、「ゆず湯」に入ると体が温まり、風邪をひきにくいと言われています。
日本はこんなふうに、季節の行事とお風呂が結びついているんですよね。

もう一つ有名なのが「しょうぶ湯(菖蒲湯)」です。
5月5日の子どもの日に、「しょうぶ」という香りの強い植物をお風呂に入れます。
「しょうぶ」には、悪いものを追い払って、家族の健康を守る力がある、と昔の人は考えていました。
とても長い歴史のある入浴の習慣です。

ふだんのお風呂でも、植物や果物を使うことがあります。
たとえば、みかんの皮を乾かして入れます。みかんの皮は甘い香りがして、体がポカポカ温まります。

りんご風呂というお風呂もあります。南信州は果物の産地なので、りんご風呂を楽しめる温泉もあります。大きな浴槽いっぱいに赤いりんごがぷかぷか浮かんでいるんです。なんだかかわいいですよね。そしてりんごの甘い香りがふわっと広がります。お湯につかりながら香りを吸いこむと、体だけではなく、心までゆるんでいくような気がします。

それから春には「よもぎ」という草を入れることもあります。「よもぎ」は、香りが強い野草です。野草というのは、人が育てているのではなく、自然に生えている草のことです。よもぎもち、よもぎだんご、などのおもちやおだんごを作ります。みなさんも食べたことがあるかもしれませんね。「よもぎ」は昔から体にいい植物だと言われていて、よもぎ茶にしたり、お風呂に入れたりします。「よもぎ」は、葉っぱを直接入れるのではなく、鍋で煮出したエキスをお風呂に入れます。さわやかな草の香りを楽しむだけでなく、女性のからだの悩みに効果がある薬草としても知られています。

薬草といえば!

みなさん「千と千尋の神隠し」というアニメを見たことがありますか?
あの映画には、神さまがお風呂に入る場所「湯屋(ゆや)」 が出てきますよね。
大きなお風呂に入ったり、体をきれいにしたり、とても気持ちよさそうです。

映画の中には、薬湯(くすりゆ)という、薬の力を使った特別なお風呂も出てきます。
葉っぱや植物のエキスを入れて、お湯の力を強くするシーンがあります。

もちろん、映画なので少しファンタジーですが、「自然の力をお風呂で楽しむ」という考え方は、日本の昔の入浴文化とつながっています。

では、今日の話をまとめます。

日本にはお風呂で香りを楽しむ文化があります。ゆずやみかん、りんごなどの果物や、しょうぶ、よもぎなどの薬草を入れます。植物には、香りだけでなく、からだにいい効果もあります。

香りには、気持ちを整える力があるとも言われています。
忙しい日でも、好きな香りに包まれると、ほんの少し優しい気分になれますよね。
日本のお風呂文化には、こういう小さなくつろぎを大切にする気持ちがあるのかもしれません。

みなさんの国には、お風呂やシャワーの時間に香りを楽しむ習慣はありますか?
もしよかったら、ぜひ教えてくださいね。


では、今日のエピソードにてきた単語練習しましょう。まず、単語をゆっくりみます。そのあと、ナチュラルスピード でみます。リピートやシャドウイングの練習使ってみてください。WEBサイトに英語中国もついています。参考にしてくださいね。

それでは、めます。

No. 語彙 ふりがな(発音) 英語 中国語
1 いちょう(銀杏) いちょー¯ ginkgo tree; maidenhair tree 銀杏樹
2 ぎんなん(銀杏) ぎんな\ん ginkgo nut 銀杏果
3 湯船 ゆ\ぶね bathtub (for soaking); hot bath tub 浴缸
4 入浴剤 にゅーよく\ざい bath additive; bath salts; bath product 入浴劑
5 ゆず(柚子) ゆ\ず yuzu (Japanese citrus fruit) 柚子
6 しょうぶ(菖蒲) しょ\ーぶ shobu; Japanese iris used in baths 菖蒲
7 よもぎ よもぎ¯ mugwort; yomogi 艾草
8 野草 やそー¯ wild grass; wild herb 野草
9 エキス エ\キス extract (plant/fruit extract) 萃取液
10 お湯 おゆ¯ hot water; bathwater 熱水
11 浴槽 よくそー¯ bathtub; bath tub 浴槽
12 薬草 やくそー¯ medicinal herb 藥草


最後にリスナーさんからのメッセージをご紹介したいと思います。

前回の「119 ゆっくり過ごす南信州」を聞いて、メッセージいただきました。

「南信州、なるほど!温泉入ってリフレッシュ、野菜果物安く買える、家賃安い、子育てもできる…なんだか魅力的に聞こえるけど、バス電車少なくて車運転必須!都会暮らしはうんざりしてるけど、時間の流れが違うのって少し寂しいかも。でも、雲見て時間忘れちゃう、っていうのはいいね。まあ、移住するなら南信州?とでも思ってみるよ!」

っていただきました〜。ありがとうございます。

田舎のメリット、デメリットありますよね。

都会暮らしに疲れちゃったっていう人は、まあ、移住はともかく、田舎に遊びに行ってみたらいいんじゃないかなって思います。なにも観光地がないような田舎の体験もきっとおもしろいと思いますよ!

みなさんもぜひ、メッセージ、コメント、をお寄せください!とても励みになります。

それでは、今回も最後までお聞きいただきありがとうございました。

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それでは、今日はここまでとなります。みなさん、よい週末をお過ごしください。
また次回、お会いしましょう。

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