#83 ひなまつり「桃の節句」の伝統的な味わい

みなさん、こんにちは。「てくてく日本語」日本語教師のたまです。
この番組は、日本語を勉強している人のためのpodcastです。
日本の生活や文化、日本語のことについて、できるだけわかりやすい日本語でお話します。

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今回は「ひなまつり」の話の続きです。
前回は「ひなまつり」の由来とひな飾りについてお話ししました。
ひなまつりは、女の子の成長を願う行事で、江戸時代に今のような豪華なひな飾りを飾るようになった、ということをお話ししました。

今回は、ひなまつりの時に食べるものについて。ひなまつりには、その時しか食べない特別な食べ物があります。今回はその食べ物についてお話しするんですが、その前に、ひとつ、みなさんに考えてもらいたいことがあります。

ひなまつりは何月何日だと思いますか?

え?ひなまつりは3月3日でしょ?前回のエピソードで、たまさん、3月3日って言ってましたよね?

そうですね。現代のカレンダーで、3月3日です。でも、実は、日本のある場所では、3月3日ではなく、4月にひなまつりを行う地域があります。
どうして、3月ではなく、4月にひなまつりを行うんでしょうか?
どうして1ヶ月遅れてやるんでしょうか。
ここでみなさん、思い出しませんか?
日本は昔「旧暦」という、今とは違うカレンダーを使っていたということ。
そうなんです。旧暦でひなまつりを行っている地域があるんです。

この話の大事なことは、もともと、ひなまつりは旧暦で行われていた、ということなんです。旧暦の3月3日は、現代のだいたい4月ごろなんです。

3月と4月では、季節がだいぶ変わります。まだ冬の寒さが残る3月と、桜が咲き始める4月。自然の様子もずいぶん変化がありますよね。
ひなまつりは、別の言い方で「桃の節句」といいます。
桃の花は、4月初めくらいに咲きます。そう、ちょうど旧暦のひなまつりの頃に咲くんです。
なので、ひなまつりの飾りや食べるものには、この「桃」に関係があるものがいろいろあるんです。

ひなまつりはもともと旧暦で行われていたということ、旧暦の3月3日ごろは、ちょうど桃の花が咲く時期だということ。
このことをまずは覚えておいてくださいね。

では、ひなまつりに食べるものについて、話していきますね。

ひなまつりといえば、代表的な食べものは「ひしもち」。
ひしもちは菱形(ひしがた)をしているお餅です。菱形は、diamond shape。中国語は「菱形」。ひしがたのおもちなので「ひしもち」です。
ひしもちは3つの色のお餅が3層に重なっています。3層に重なるというのは、3つのものが上から下へ順番にのることです。サンドイッチのように、3つのものが順番に重なっています。
3つの色は、上からピンク、白、緑です。ピンクは、桃の色。そう、ここに桃のイメージがあるんですね。桃には厄除け、悪いことが起こらないようにすること、という意味があります。白は清らか。きれいで汚れていないという意味です。緑は健康を表しています。
ひしもちは、まずおひなさまにお供えしてから、食べます。

それから、ひなあられ。
小さいまるいお米のおかしで、ひしもちと同じように、ピンク、白、緑の色があります。ひなあられは、関東と関西で味が違います。関東のひなあられは甘くて、関西のものは醤油味でしょっぱい味です。
ひなあられも、おひなさまにお供えしてから、食べます。

そして「白酒(しろざけ)」というお酒を飲みます。
ひなまつりは、もともと中国で厄払いをする行事の日です。中国では厄を払うために、桃の花をお酒に入れた「桃花酒(とうかしゅ)」を飲んでしました。
ここでもやっぱり「桃の花」が使われていますね。
桃の花には、長生きができる力があると考えられていたんです。

こんなふうに、ひなまつりの時に食べるものは、桃の花ととても関係があります。それは、もともとひなまつりは旧暦の3月、現代の4月ごろに行われていたからなんですね。

みなさん、こんな風景を想像してみてください。

桃の花が咲いて、あたり一面ピンク色に染まっています。部屋には豪華なひな人形が飾られています。女の子はきれいな着物を着ていつもよりおしゃれをしています。小さい手でひなあられを食べている様子はかわいいです。
厳しい冬がようやく終わり、明るい春を迎える喜びが感じられませんか?

現代のカレンダー「新暦」では、3月3日はまだ寒いですね。花も咲いていません。
でも、ひなまつりのもともとの意味を知ると、もっとひなまつりが楽しめると思います。
みなさんも、どうぞ楽しいひなまつりをお過ごしくださいね。

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では、今日の単語を復習しましょう。WEBサイトにスクリプトがあるので、利用してくださいね。スクリプトにはアクセント記号も書いてあります。アクセントはいろいろなパターンがありますので、参考としてみてください。
それでは、始めます。

1 桃の節句  もものせっく
2 ひしもち  ひしもち
3 ひしがた  ひしがた
4 三層に重なる さんそーにかさなる
5 清らか   きよらか
6 ひなあられ ひなあられ
7 関東    かんとー
8 関西    かんさい
9 白酒    しろざけ
10 長生き    ながい
11 一面     いちめん
12 新暦     しんれき

*アクセント記号は『NHK日本語発音アクセント新辞典』を参考に、「第1アクセント」(最初に覚えるならこれがお勧め)を表示しています。

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いかがだったでしょうか。
このpodcastを聴いているみなさんは、日本の古いカレンダー「旧暦」のことが、だんだんわかってきたんじゃないでしょうか。
旧暦を理解すると、日本の自然や文化が、もっとよくわかるようになります。
これからも一緒に、日本の文化や歴史を楽しんでいきましょう。

それでは、今日も最後までお聞きいただきありがとうございました。
また次回、お会いしましょう。

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