#93 日本人のニックネーム

みなさん、こんにちは。「てくてく日本語」日本語教師のたまです。
この番組は、日本語を勉強している人のためのpodcastです。
日本の生活や文化、日本語のことについて、できるだけわかりやすい日本語でお話します。

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今回は、日本人のニックネームについて話したいと思います。ニックネームとは、本名とは別に、親しい人との間で呼ばれる名前です。

たとえば、有名人の名前で言えば、タレントの新垣結衣さん。新垣結衣さんのニックネームはガッキーですね。ファンだけでなく、一般的にも親しい気持ちで呼ぶ名前ですね。

日本語を学習しているみなさんは、日本人のニックネームって、いろいろあるなーって思ったことありませんか?

数年前ですが、ネットフリックスで「ブラッシュアップライフ」というドラマがありました。

この中に、同級生の女性が4人登場します。この登場人物のニックネームが、おもしろかったので、紹介したいです。

たとえば、

主人公の近藤麻美さんは、「あーちん」と呼ばれています。名前の「麻美(あさみ)」の「あ」に「ちん」を付けるんですね。

お友達の夏希さんは「なっち」。これは「夏(なつ)」に「ち」を付けた形です。

そして美穂さんは「みーぽん」。語尾、ことばの最後に「ぽん」をつけて、かわいい感じが出ています。

さらに面白いのが、宇野真里さん。最初は「まりりん」。「まり」に「りん」をつけて、あの有名な「マリリン・モンロー」のイメージも重ねています。これが途中から「まっさん」「まっちょ」に変わり、最後は「ぴょろたん」!もう原型がないですね。

「ブラッシュアップライフ」では、ほかの登場人物にもいろいろなニックネームがありました。

たとえば、担任の先生。
先生の名前は三田哲夫さんですが、学生たちからは「ミタコング」と呼ばれています。
ここで、ちょっと説明が必要なんですが、この場合の「ミタコング」は、ニックネームとはちょっと違います。ニックネームというより、「あだ名」です。

「ニックネーム」と「あだ名」、何が違うんでしょうか。

ニックネームの場合は、お互いにその名前で呼び合います。親しい気持ち、仲がいい関係をあらわしています。

でも「あだ名」は、その名前で直接相手を呼ばない場合もあります。この、先生のあだ名の場合、学生たちだけが、その名前「ミタコング」って呼んでいるんですね。先生は、自分のあだ名のことを知りません。学生たちは、その先生のことをあんまりよく思ってないんですね。だから、こっそりあだ名をつけているんです。それは、「ミタコング」というあだ名からもわかります。三田先生の名字「ミタ」に「コング」をつけているでしょ?「コング」は、怪獣をあらわしています。キングコングの「コング」といえば、イメージできるかな。苗字に怪獣をイメージするような言葉をつけている。ということは、先生に対して、あまり親しみを感じていないのがわかりますよね。

こんなふうに、日本人は「ニックネーム」と「あだ名」を使い分けているんですよね。

まあ、あだ名のことは、置いておいて、ひとまず、ここでは「ニックネーム」についてお話ししますね。

「ニックネーム」の付け方、これが、ほんとに、たくさん、いろんなパターンがあります。全部は説明できないので、ここでは、よくあるパターンをご紹介しますね。

まず、一番シンプルなのが、名前を短くするタイプです。たとえば、「あやこ」が「あや」、「かずよし」が「かず」などです。呼びやすい言い方ですね。

最後に「ちゃん」「くん」「さん」などをつけて、たとえば、「ふくちゃん」、「まーくん」、「のりさん」などと言います。

次に、語尾、言葉の最後に「ぽん」「りん」「ぴー」「っち」などを付けるタイプ。
たとえば、「あいぽん」「みぽりん」「のりぴー」「うっちー」など。

〜ぽんとか〜ぴーとかは音が可愛いですね。女性同士や若者、アイドルファンの間などで使われることが多いです。これは、さらに変形させるパターンもあって、いろんな言い方があります。

それから、名前を繰り返すタイプ

「きょんきょん」「まきまき」

リズムがあって可愛い感じですよね。親しみやユーモアを込めた呼び方です。

そしてに、名字と名前を合わせて省略するタイプ

「キムタク」「ハセキョー」「深キョン」

これなどは、芸能人やスポーツなどで有名な人によくある付け方ですね。一般にはあまりないかもしれません。

このようにいろいろなパターンがあって、さらにそれらが組み合わされるので、さまざまなニックネームが生まれるんですね。

そして、わたしのニックネームは「たま」。そう、これは本名じゃなくて、ニックネームなんです。本名は全然違う名前なので、よく、どうして「たま」っていうの?と聞かれます。

これは、わたしの出身と関係があるんですね。わたしは東京の生まれなんですが、東京というと、たいてい、みなさん、東京23区、新宿とか渋谷とか、あの東京の中心を想像するじゃないですか。でも、わたしが生まれたのは、東京都の西側の「多摩地区」といわれるエリアなんですね。それで、いつも、出身地を聞かれるときに、「東京だけど、多摩なんです」って言ってたんです。それで、誰かが「たまかー」って言って、それから、「たま」って呼ばれるようになったんですねーー。大学生くらいの時のことです。

まあ、わたしは、それより、きっと玉のようにかわいかったから、たまって呼ばれるんだろう、って自分で勝手に考えるようにしていましたけどね。

そんなふうに、名前と関係なく、ニックネームをつけられることもあるんですよね。

日本語を学習しているみなさんにとって、日本人のニックネームってどんなイメージですか?みなさんの国では、ニックネームはどんなパターンがありますか?ぜひコメントで教えてくださいね。


では、今日のエピソードに出てきた単語を練習しましょう。まず、単語をゆっくり読みます。そのあと、ナチュラルスピード で読みます。リピートやシャドウイングの練習に使ってみてください。WEBサイトに英語の訳と中国語の訳もついています。参考にしてくださいね。

それでは、始めます。

No. 語彙 ふりがな(発音) 英語 中国語
1ニックネームにっくね\ーむnickname暱稱
2本名ほ\んみょーreal name本名
3親しいしたし\いclose, friendly親近的
4有名人ゆーめ\ーじんfamous person名人
5語尾ご\びword ending詞尾
6原型げんけー¯original form原型
7登場人物とーじょー¯じ\んぶつcharacter (in a story)登場人物
8担任たんにん¯homeroom teacher班導師
9あだ名あだな¯nickname (often informal)綽號
10怪獣かいじゅー¯monster怪獸
11苗字みょ\ーじfamily name姓氏
12付け方つけか\たway of attaching/adding取名方式
13省略しょーりゃく¯abbreviation省略
14呼び方よびかた¯way of calling稱呼方式
15親しみしたしみ¯affection, familiarity親切感/親近感
16出身しゅっしん¯place of origin出生地/家鄉
17多摩地区たまち\くTama area (Tokyo)多摩地區
18中心ちゅーしん¯center中心
19想像するそーぞーする¯to imagine想像
20関係かんけー¯relation, connection關係


今回は「日本人のニックネーム」についてお話ししました。いかがだったでしょうか。


Patreonの「かえで」コースでは、このPodcastの内容に関連した文法について説明しています。

エピソードを単品で買うこともできますので、気になるものがあったら試してみてくださいね。


それでは、みなさん、いつも聞いていただいてありがとうございます!コメントやフォローもとても励みになります。うれしいです


では、今日はここまで。みなさん、よい週末をお過ごしください。
また次回、お会いしましょう。

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