#49 なぜ夏に「うなぎ」を食べるの?(前編)

みなさん、こんにちは。「てくてく日本語」日本語教師のたまです。
この番組は、日本語を勉強している人のためのpodcastです。
日本の生活や文化、日本語のことについて、できるだけわかりやすい日本語でお話します。

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みなさん、こんにちは。今日は7月12日 金曜日です。
雨が降って、じめじめと蒸し暑いですね。
天気予報によると、今年の梅雨明け、梅雨が終わるのは、だいたい7月20日くらいのようです。
梅雨が明ければ、いよいよ本格的な夏がやってきます!

今回のテーマは「なぜ夏に鰻(うなぎ)を食べるの?」ということで
日本人の不思議な習慣についてお話ししていこうと思います。
長くなりそうなので、今回と次回、2回にわけて、お話ししていきたいと思います。

さて、暑くなってくると、スーパーや百貨店などで「鰻(うなぎ)」のポスターをよく見かけるようになります。
「うなぎ」、みなさん知っていますか?細長くて、黒くて、ぬるぬるしている魚です。
「ぬるぬる」というのは、すべりやすくて、うまくつかめないような様子です。
たとえば、手に油がつくと、ぬるぬるします。
「うなぎ」はぬるぬるしているので、つかみにくいです。

日本ではこの「うなぎ」を「蒲焼(かばやき)」という料理にして食べます。
「かばやき」というのは、うなぎを切って開いて、タレをつけて焼いたものです。
これをごはんの上に乗せて、一緒に食べます。
うなぎの肉はふっくらとやわらかくて、甘くてしょっぱいタレと、香ばしい香りが、ごはんによく合って、おいしいんです。
お店では「うな丼」とか「うな重」という名前でメニューに書いてあります。

この時期、うなぎ屋さんの前を通ると、うなぎを焼く香ばしい、いい香りがしてきます。
夏になると、うなぎを食べる。
これは、日本人の習慣になっています。
特に「土用の丑の日(どようのうしのひ)」、この日にうなぎを食べる、という習慣があります。

「土用の丑の日」?何それ?土曜日のこと?ウシって牛肉のこと?
はてな、はてな、ですねー。
はい、まずはこの「土用の丑の日」とは何なのか、お話ししていこうと思います。

まず「土用」これは漢字で「土」に「用事」の「用」、「用意」の「用」と書きます。
そして発音、アクセントは「ど/よう」。「ど/よう」と発音します。
土曜日の「土曜」、曜日の「土曜」ですね。これは「ど/よ\う」と発音します。
「ど/よう」 「ど/よ\う」
聞き分けられますか?

はい、では「土用」ってそもそも何なんでしょうか。
これはですね。以前、このPodcastでもお話ししたことがありますが、季節をあらわす言葉で「立春」「立夏」「立秋」「立冬」のことを紹介しました。
「立春」「立夏」「立秋」「立冬」はそれぞれ、その季節がはじまることを表します。
「立春」は、春が始まる。「立夏」は夏が始まる。「立秋」は秋が始まる。「立冬」は冬が始まる。

この「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の前の18日間、この時期を「土用」というんです。

今年は「立秋」が8月7日です。なので、その18日前。実際はちょうど18日というわけではないんですが、今年は7月19日から「土用」がはじまります。立秋が始まる前日、8月6日まで、7月19日から8月6日までが、夏の土用です。

土用はそれぞれ季節の変わり目の前の18日間です。だから、春の土用、夏の土用、秋の土用、冬の土用というように、1年に4回あります。

簡単に言うと、「土用」は季節が変わる前の特別な期間のことなんです。

では次に、「丑の日」とは何でしょうか。
みなさん、十二支(じゅうにし)って知ってますか?
十二支というのは「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥(ね・うし・とら・う・たつ・み(へび)・うま・ひつじ・さる・とり・いぬ・い(いのしし)」のことです。全部動物の種類です。
これはよく、年をあらわすときに使います。たとえば「わたしは寅年(とらどし)生まれ」とか「申年(さるどし)に生まれた」とか言います。
今年は「辰(たつ)」、辰年です。辰は龍のことで、実在しない、実際に存在しない、空想の生きものです。

この十二支ですが、昔は、年だけでなく、日にちを表すのにも使っていました。
日にちを数える時、数字ではなく、十二支で表していたんです。
なので、「今日は酉の日だ」とか「明日は申の日だ」というふうに言ってたんですね。
ちなみに、今日7月12日は「丑の日」です。
十二支ですから、12日ごとに「丑の日」があります。次の「丑の日」は7月24日です。

さて、先ほど、土用は7月19日から8月6日と言いました。
その土用の期間にある「丑の日」は7月24日。

そう、つまり「土用の丑の日」は7月24日なんです。

どうでしょう?わかりましたか?ちょっと複雑ですね。

簡単に言えば「土用の丑の日」とは、季節が変わる前の特別な期間にある特別な日、ということですね。

昔の季節や日にちの考え方ですので、現代ではあまり使われていませんが、こういう季節の行事では、その考えはまだまだ生きているんですね。

さて、では、どうして日本では「土用の丑の日」にうなぎを食べる習慣があるんでしょうか。
続きは次回、お話ししていきたいと思います。

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では、今日のエピソードに出てきた単語です。聞き取ってみてくださいね。答えはWEBサイトのスクリプトにあります。では、始めましょう。

1 うなぎ
2 蒲焼(かばやき)
3 土用(どよう)
4 土曜(どよう)
5 変わり目(かわりめ)
6 十二支(じゅうにし)
7 丑の日(うしのひ)
8 実在(じつざい)
9 空想(くうそう)

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今回は「土用の丑の日」についてお話ししました。次回は、どうして「土用の丑の日」にうなぎを食べるようになったのか、お話したいと思います。また来週も聞いてもらえるとうれしいです。

このPodcastを気に入っていただけましたら、フォロー・評価いただけるととっても嬉しいです。
また、リクエストや感想などのコメントもお待ちしております。
今日も最後までお聞きいただきありがとうございました。
それでは、今日はここまで。
また次回、お会いしましょう。

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Podcastを聞いて問題に答えましょう。

1)今年の「土用の丑の日」は(   )月(   )日です。

2)今年の「土用」は(   )月(   )日から(   )月(   )日までです。

3)天気予報によると、今年の梅雨明けは(   )月(   )日頃のようです。

4)このPodcastを配信した日は(   )月(   )日です。

5)今年の「立秋」は(   )月(   )日です。

*上級問題

6)今年は「土用の丑の日」が2回あります。何日と何日でしょうか。

7)今年は「辰年」です。来年は「巳年(へびどし)」です。さ来年は何年(なにどし)ですか。

8)あなたは何年(なにどし)生まれですか。

→答えは次回のブログで




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