#28 冬至(とうじ)
みなさん、こんにちは。日本語教師のたまです。
この番組は、日本語を勉強している人のためのpodcastです。
日本の生活や文化、日本語のことについて、できるだけわかりやすい日本語で話します。
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今日は12月22日。季節の言葉で「冬至(とうじ)」です。漢字では、「冬」が「至る」と書きます。「至る」は、その状態になる、という意味で、「冬至」はまさに冬だなあ〜という感じですね。
「冬至」って、どんな日のことでしょうか。
「冬至」は、1年の中で昼の時間がいちばん短く、夜の時間がいちばん長い日です。
では、逆に、1年の中で昼の時間がいちばん長い日は何でしょうか?それは「夏至(げし)」です。
では、昼の時間の長さと夜の時間の長さが同じになる日は?
「春分(しゅんぶん)」と「秋分(しゅうぶん)」です。
このPodcastでも、9月に「秋分(しゅうぶん)」についてお話ししました。興味がある方は、聞いてみてくださいね。
春の「春分」、夏の「夏至」、秋の「秋分」、冬の「冬至」
これはみんな、太陽の動きによって決められています。
1年を春夏秋冬、4つに分けて、これをさらにそれぞれ6つに分けたものを「二十四節気(にじゅうしせっき)」といいます。24の季節、という意味です。
「二十四節気」は、太陽の動きに合わせて、1年を24に分けたものです。そして、それぞれの季節に合った名前がつけられています。 春分、夏至、秋分、冬至のほかにも、いろいろな名前があります。11月のPodcastでは「立冬(りっとう)」についてお話ししました。
「二十四節気」は、昔の人たちが季節の変化を知り、生活や農業のスケジュールを管理するために使っていました。例えば、春には「立春」があります。春がはじまる、という意味で、農業では、この情報を元に、いつ作物を植えたり収穫したりするかを計画していました。
昔の日本ではほとんどの人が農業をしていましたから、「二十四節気」はほんとうに生活に深い関係があったんですね。
さきほど、春の「春分」、夏の「夏至」、秋の「秋分」、冬の「冬至」
これはみんな、太陽の動きによって決められています。昼の時間の長さによって決められています、とお話ししました。
このなかで「冬至」は一年でいちばん、昼の時間が短いです。たしかに、最近は、夕方になると外はもう暗いですよね。太陽が沈むのが早いことを実感しますね。
「冬至」は、太陽の位置が低くなって、太陽の力が弱くなる日です。そして明日からは、少しずつ太陽が高くなります。明るい時間も少しずつ長くなっていきます。
このことから、「冬至」は「太陽が生まれ変わる日」と考えられ、新年がスタートする日として祝われてきました。 中国や日本では「一陽来復(いちようらいふく)」といいます。冬が終わって春がくる、とか、しばらく悪いことが続いたあとにいいことが起こるという意味の言葉です。
「冬至」は一年の中で一番暗い時間が長い日。でも、明日から少しずつ明るい時間が長くなる。そのことに、昔の人は、新しいスタートや希望を感じていたんでしょうね。
さて、日本では、冬至のときにするさまざまな風習があります。
冬至の食べ物といえば「かぼちゃ」
冬至にかぼちゃを食べると病気にならない、といわれています。なぜでしょうか?
昔は冬になると、新鮮な緑色の野菜がなかなか手に入りませんでした。野菜から摂る栄養やビタミンが足りなくなり、からだの抵抗力が落ち、風邪をひきやすくなります。
かぼちゃには栄養が豊富で、バランスもいいため、からだの免疫力を高め、風邪を予防できると考えられてきました。
また、昔から黄色は太陽の色とされ、魔除け(まよけ)の効果があると信じられていたそうです。魔除けとは、悪いものが近づかないようにするためのものや言葉のことです。黄色いかぼちゃを食べることで、悪いもの、つまり病気とかが、からだに入らないように、と願っていたんですね。
さらに、冬至に「ん」が付くものを食べると「運」が良くなると言われていました。例えばれんこん、にんじん、ぎんなん、うどんなど、名前に「ん」が付く食べ物です。「ん」を食べて、「運」「幸運」を引き寄せよう、という考えです。言葉遊びというか、ダジャレというか、現代の人から見たら、ほんとに効果あるの?って思うかもしれないです。でも昔の人は、こういうことを本気で考えてたり、信じていたりしてたんですよね。それにはやっぱり何か、意味があるんじゃないかなあ、とわたしは思います。
え?でも、かぼちゃは?名前に「ん」がついてないよね?
はい、これはですね、かぼちゃは「南瓜(なんきん)」という別の名前があるんです。実は名前に「ん」がついてるんですね。
栄養も豊富だし、魔除けもしてくれるし、幸運も呼び込める。これを聞くと、やっぱり冬至はかぼちゃ食べようって気になりませんか?
そして、もうひとつの冬至の有名な習慣が「柚子(ゆず)湯」です。果物の柚子をお風呂のお湯に浮かべて、入ることです。
柚子には、血液の流れをよくして、からだを温める効果があります。また、冬はからだが乾燥して、手がかさかさになったりしやすいですが、柚子には肌をしっとりさせる効果があります。
それから、柚子の黄色い色も、魔除けの効果があると考えられていたようです。
冬至の夜の柚子湯は、楽しみのひとつです。ゆずのいい香りでリラックスできて、お肌もすべすべになって、幸せな気持ちになります。ほんとに幸運が呼び込めそうです。
こうやってみると、冬至は一年の中でも、特別な日だなあと感じます。
冬至は日本だけでなく、北半球(きたはんきゅう)、地球の北にある場所すべてが同じ日です。
しかもやはり「太陽が生まれ変わる日」「新しいスタートの日」と考えられているそうです。
太陽のエネルギーが弱いこの時期は、わたしたちにとってはつらい時期ですね。かぼちゃを食べたり、柚子湯に入ったりして、体調を整えて、厳しい冬を乗り越えていきましょう!
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さて、今回は「冬至」についてお話ししました。
みなさんは、冬至になにか行事をしたり、食べたりするものなどありますか?
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質問やリクエストもお待ちしています!
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今日も最後までお聞きいただきありがとうございました。
それでは、今日はここまで。
また次回、お会いしましょう。
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ちなみに、中国語でいう「柚子」は、日本の柚子と全然違う果物ですね。
日本で「柚子」といえば、小さくて丸くて酸っぱい果物です。
そのまま食べるというよりは、料理に使ったり、飲み物やジャムにしたりします。
中国語の「柚子」は、日本では「ぶんたん」と呼ばれるものに似ています。
大きくて、少し頭が突き出ていて、甘いです。そのまま食べることができます。
同じ漢字なので、最初は、あれ?同じなのに違う?と混乱(こんらん)しました。
中国語の「柚子」を、台湾で食べましたが、グレープフルーツに似た感じで美味しかったです!